ほがらか文庫

本と人に出会う喜びを

ほがらか文庫036:「シリコンバレー式 自分を変える 最強の食事」デイヴ・アスプリー著

巷で噂(?)のバターコーヒーを知っていますか?

中年に近づくと何かと健康の話題に花が咲き、最近その中で浮上したキーワードが「バターコーヒー」でした。

私が本好きなことを知ってか、その謎の飲み物の正体が、そっと私の職場の机に置かれていたので読んでみました。

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さあ、私がこの「バターコーヒー」とやらを読み解きます!

ポイントは4点。

 

バターコーヒーだけを飲んで痩せることが著者の主張ではありません!

著者はこのバターコーヒーを朝食にして、そのあと1日の中でどの時間帯に何を食べるといいのかも明確にしています。またこのプログラムをまず2週間続けることで、体をリセットさせ、その後自身の体質を知るために調整していくという一連の流れの中で食事法を提唱しています。ですので、バターコーヒーだけを飲んで痩せることが著者の主張ではありません!

 

②セレブやトップアスリートにこのメソッドが広がっていると書いてありますが、コーヒーに入れるべき、グラスフェッドバターは庶民がデイリーユースにはできない価格帯。つまりセレブやトップアスリートにしか継続はできません!

グラスフェッドバターとは、穀物飼料ではなく牧草のみで育てられた牛から作られたバターのこと。この商品を検索すればすぐ分かりますが、一般家庭で今までの朝食をやめてこのバターコーヒーだけにしたとしても大赤字になるでしょう。さらに著者は、お肉としていただく牛もグラスフェッドのものを推していますから、2週間のプログラムがたやすくできるものではないとすぐわかるはず。

 

③安心すべきは、この著者は結構まともなことを言っている!

なぜなら、この本で食べ方や食材を並べるごとに、これが「体に合う人もいれば合わない人もいる」と書いているからです。万人がバターコーヒーで痩せたり健康になったりするなんて、そんなことはどこにも書かれていません。

 

この本から学ぶべきは、著者自身の人間の体に対する探究心!

これに尽きます。結局は自分で色々試してみて、体に合う食べ物を認知していくこと。もっと自分の体の仕組みを知っていくこと。だってホルモンは肝臓で作られていることを知っている人がどれほどいるでしょう。著者がこれまで体験してきたあらゆるダイエット方法を真似することはできませんが、こういう風に自分や家族の体に探究心を持つことを私はこの本から学びました。

 

いつもとは違った切り口で、一気に書き上げた千文字でした。

ご参考まで。

ほがらか文庫035:「モモ」ミヒャエル・エンデ作

三人のきょうだいが、ひとつ家に住んでいる。

ほんとはまるですがたがちがうのに、

三人を見分けようとすると、

それぞれたがいにうりふたつ。

一番うえはいまいない、これからやっとあらわれる。

二ばんめもいないが、こっちはもう出かけたあと。

三ばんめのちびさんだけがここにいる、

それというのも、三ばんめがここにいないと、

あとの二人は、なくなってしまうから。

でもそのだいじな三ばんめがいられるのは、

一ばんめが二ばんめのきょうだいに変身してくれるため。

おまえが三ばんめをよくながめようとしても、

見えるのはいつもほかのきょうだいの一人だけ!

さあ、言ってごらん、

三人はほんとは一人かな?

それとも二人?

それともーだれもいない?

さあ、それぞれの名前をあてられるかな?

それができれば、三人の偉大な支配者がわかったことになる。

三人はいっしょに、大きな国をおさめているー

しかも彼らこそ、その国そのもの!

そのてんでは三人はみんなおなじ。

 

このなぞなぞの答えがわかりますか?

 

大人だって児童書を読んでもいいのです。

大人だからこそ児童書を読むといいものです。

 

子どもだった私がこの本を読んだら、どんな思いを巡らせたのでしょう。

 

時間をケチケチすることで、ほんとうはぜんぜんべつのなにかをケチケチしているということには、だれひとり気がついていないようでした。じぶんたちの生活が日ごとにまずしくなり、日ごとに画一的になり、日ごとに冷たくなっていることを、だれひとりみとめようとはしませんでした。

 

大人になった私たちには鋭く突き刺さるメッセージです。

 

けれど時間とは、生きるということ、そのものなのです。そして人のいのちは心を住みかとしているのです。 

人間が時間を節約すればするほど、生活はやせほそっていくのです。

 

この本の結論です。真理であり、核心です。

心が震えます。

 

児童書らしいファンタジーと色鮮やかな情景描写も堪能しながら、三人きょうだいについて考えてみませんか。

そして、「時間とは生きるということ」を語り合いませんか。

灰色の男たちに時間を奪われる前に・・・

 

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ほがらか文庫034:「台所のオーケストラ」高峰秀子著

いつの日か誰かにお料理の本をプレゼントしたいなあと考えながら、それにふさわしい本と、差し上げるタイミングを待っていました。

 

主婦にとってお料理のレシピは欠かせない知恵袋。

でもプレゼントとなると、相手の嗜好にそぐわないとかえって迷惑になってしまいそう。

また、一般的なレシピ本は大きなサイズでボリュームがあります。

さらに言うと、たいがいのレシピはネットで検索できるご時世。

 

そんな私のこだわりにぴったりの1冊が見つかりました。

読みものとしても、実用レシピとしても楽しめて、しかも文庫サイズ。

 

お世話になった友の門出に贈りました。

家族というオーケストラで、名指揮を取られんことを祈りつつ。

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ほがらか文庫033:「モオツァルト・無常という事」小林秀雄著

この本との出会いはこちら(http://s.ameblo.jp/room-hidamari/entry-11990289164.html)に綴りました。

こういう本の選び方もできる時代になりました。

みなさんも、機会を狙って気になる著名人に直接オススメの本を聞いてみるといいですよ。

その答えを惜しむ人はいないはず。

 

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たった5ページの「無常という事」を題名とする散文のなかには、過去と未来をつなぐ「今」という時の捉えどころのない感覚をわかりやすく表している。

 

またその中で、川端康成が「生きている人間とは、人間になりつつある一種の動物かな」と言ったことに対して、「多くの歴史家が、一種の動物に止まるのは、頭を記憶で一杯にしているので、心を虚しくして思い出す事が出来ないからではあるまいか。」と思索を深め、「常なるものを見失った」現代を批判している。

 

この文章はおよそ70年前に書かれているが、今読んでもまったく古びない重要な問いを私たちに投げかけている。

 

さて、過去と未来の間にある「今」とはいったい何か、ここ数日私の頭を悩ませるテーマである。それも「心を虚しくして」いては答えに辿りつけないのだろう。

 

他15編、読み応えのある1冊である。

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ほがらからか文庫032:「読む力・聴く力」 河合隼雄著 ; 立花隆著 ; 谷川俊太郎著

ある日、歴史小説が好きな夫がめずらしく私好みの本を持ち帰ってきました。

久しぶりに見る、この3人の著者の名前。

それぞれの著作は、中学から大学時代によく親しんだので、同窓会で久しぶりに会ったような懐かしさと、さて今彼らは何を語るのだろうかと言う好奇心とが湧いてきた始めの1ページでした。

 

この本は、ある時の講演会をまとめたものです。

「読む」「聴く」という人間の持つ能力を、それぞれの経験を踏まえて縦横に語らっています。

たとえば、河合隼雄さんの「聴く」という本業、その態度。

それは、児童文学で有名なミヒャエル・エンデの「モモ」の中で、主人公のモモが住み着いた洞穴で、周りの人々の話を聞いて、聞いて、それで彼らの問題を解決していく。

河合隼雄さんのお話は、ふと「モモ」を思い出させるようであり、私自身の「聴く姿勢」をあらためて見直したくなりました。

立花隆さんの、100冊読んで1冊本を書くという、インプットとアウトプットのバランスや、「わかる」という意味での「聴く」というお話は、日々の読書記録をこのように文章にしてている私としては、身の引き締まるようなお手本になりました。

そして谷川俊太郎さんの詩が綴られ、3人の対談へと話は深まっていきます。

 

もう絶対に実現することのない、この巨頭3人の貴重な語らいは、いつまでの私の「読む力・聴く力」を引出してくれるに違いありません。また大切な1冊が加わりました。

 

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ほがらか文庫031:「すてきなあなたに」 大橋鎭子編著

図書館の閉架書庫にそっとしまわれていたこの本を持ち出しました。

借りる際に、受付の方が「だいぶ汚れていますけど、いいですか?」と声をかけてきました。

 

読みたい気持ちでいっぱいの私には、本の状態など何も気にはなりません。

かえって、この本がたくさんの人に読まれてきたことがわかり、なんだかうれしくなります。

しかも今は新品では買えない版のものですから、とても貴重なのです。

 

 「とと姉ちゃん」でも描かれている、戦争に対する怒りと悲しみ、そこから懸命に、そして美しく暮らしてきた眼差しが、「すてきなあなたに」のエッセイに散りばめられています。

 

たとえば、私が今回読んで真似をしようと思ったのが、「見るだけ」という一節。

ちょっと入って覗いてみたいお店があっても、黙って入って黙って出て行くのは気まずいもの。

それを鎭子さんは、「のぞかせていただきます」「ちょっと見せて下さいね」と言ってお店に入り、出て行く時にはお礼を言うのですって。

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 なるほど、と思いました。

このようなささやかだけれども、素敵な心遣い、暮らしの知恵、そして私も取り入れたいと思うようなアイデアが必ず見つかるのが、鎭子さんの文章であり、今も発刊されている雑誌「暮しの手帖」なのです。

 

そして暮しの手帖社が発信するメーッセージは、何度も読み返したいものばかり。

一度手にしたらそう簡単には手放せなくなります。

 

穏やかなトーンの文章の中にある、より良く暮すことへの飽くなき探究心にこれからも触発を受けていくでしょう。

 

おまけの緒:ポイントの使い方

みなさんもひとつやふたつは、どこかのお店のポイントカードをお持ちでしょう。
貯まったポイントはどのように利用していますか?

 

私はいざポイントを利用できるとなると、いつも迷ってしまいます。
「せっかく貯まったのだから何か良いことに使おう」

なんて欲ばりになったりして。

 

数日前、あるお店のポイントが500円のお買い物券に換えられるまでに貯まりました。
「さてどう使いましょう」
そのお店は複合施設なので、食品から洋服、カフェやレストランもあり、どこでもそのお買い物券を利用できます。
食品の足しにしたら、あっというまになくなってしまいますし、コーヒーを1杯いただいてもそれで終わりです。
なにかピンとこないのです。


しばらく考えて浮かんだアイデアが、「本を買う」ことでした。

このポイントで1冊の本が手に入れられると思ったら、本当にワクワクします。
他に思い浮かんだアイデアでは、ちっともワクワクしなかったのですから。


みなさまおためしあれ。