ほがらか文庫

ひとりよがりの読書記録

ほがらか文庫020:「おいしいもののまわり」 土井善晴著

「さくっと気楽に読めるのだろうなあ」とはこの本を開く前の印象。

でも読んでいくと、雑誌のコラムをまとめた文章とは思えない読み応えがありました。

それはきっと、土井善晴さんのお料理に対する深さからくるものなのでしょう。

 

今となれば、私にとって土井さんという料理研究家はテレビでもおなじみの有名人。

でもテレビ音痴な私が土井さんを知ったのはちょうど1年前。

しかも初めての出会いが、ご本人の講演会でした。

 

知らない人の講演会に行ったのにはこういう理由があります。

その講演会が開かれる場所が、駒場日本民藝館でした。

以前から民藝に興味のあった私は、その日本民藝館に訪ねるチャンスを待っていました。

ある時、日本民藝館のホームページを覗いたら、「食と生活にまつわる話」という講演があるとの情報をキャッチ。

日本民藝館に行くだけでなく、食と民芸の重なるところのお話が聞けるならと、すぐに席を確保しました。

 

民芸品に囲まれた空間で、土井さんのお話を聞くひとときは本当に美しい時間でした。

その時にいただいた講演の原稿は私の宝物です。

この1年も折あるごとに読み返しては、土井さんの言われる「汁飯香香」「和食は民芸」という基本を確認して、日々の料理を楽しんでいます。

 

そしてまた、日本民藝館で土井さんのお話を聞いているかのように読みすすめ、暮らしを楽しみたい、そんな思いでこの本を手に取りました。

ここに書かれているひとつひとつを、私のきほんにしていくことが暮らしの楽しみとなりました。

 

実用書ではなく、読み物としてお料理の基本を味わえる1冊です。

 

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