ほがらか文庫

ひとりよがりの読書記録

ほがらか文庫029 : 「園芸家の一年」カレル・チャペック著

本を読んでいると、どこかで必ず心に深く染み込んでくるような言葉に出会います。

そんなとき私は、iPhoneのメモ機能に残しておきます。

また次に読んだときに違和感がありそうなので、付箋をつけたり、マーカーを引いたりすることは今のところしていません。図書館で借りている本の方が多いのが実際のところでもあります。

この取り上げた言葉たちを時々見返すのもまた良いもので、日常のなかでは忘れがちだけれども、大切にしたい想いを再確認するようなひとときとなります。

 

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手のひらほどの大きさでも、庭を持つべきだ。何を踏んでいるか認識するように、少なくとも、花壇を一つ持てるといいのだが。そうすれば、きみ、どんな雲も、きみの両足の下にある土ほど多種多様ではなく、美しくも恐ろしくもないことがわかるだろう。P.162

 

未来は、わたしたちの先にあるのではない。もうここに、芽の形で存在しているのだから。未来は、もうわたしたちといっしょになっている。今わたしたちといっしょにないものは、未来になっても存在しないだろう。わたしたちには芽が見えないが、それは芽が地面の下にあるからだ。わたしたちに未来が見えないのは、未来がわたしたちの中にあるからだ。(中略) ーわたしたちの憂いや不信など、まったく馬鹿げたことだ。いちばんたいせつなことは、生きた人間であること、すなわち、成長しつづける人間であることだ。P.197

 

カレル・チャペック園芸家の一年」(平凡社ライブラリー版)より

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春に種を蒔いたバジルの成長が伸び悩んでいましたが、やっと収穫できるようになりました。

小ぶりの葉っぱですが、次から次へと実りをもたらしてくれています。

 

スピードや効率が求められる時代だからこそ、植物を育てたり、編み物をしたり、本を開いたりして、すぐには完結しないことを暮らしの中に取り入れて、時間の感覚のバランスを取っています。

 

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