ほがらか文庫

ひとりよがりの読書記録

ほがらか文庫031:「すてきなあなたに」 大橋鎭子編著

図書館の閉架書庫にそっとしまわれていたこの本を持ち出しました。

借りる際に、受付の方が「だいぶ汚れていますけど、いいですか?」と声をかけてきました。

 

読みたい気持ちでいっぱいの私には、本の状態など何も気にはなりません。

かえって、この本がたくさんの人に読まれてきたことがわかり、なんだかうれしくなります。

しかも今は新品では買えない版のものですから、とても貴重なのです。

 

 「とと姉ちゃん」でも描かれている、戦争に対する怒りと悲しみ、そこから懸命に、そして美しく暮らしてきた眼差しが、「すてきなあなたに」のエッセイに散りばめられています。

 

たとえば、私が今回読んで真似をしようと思ったのが、「見るだけ」という一節。

ちょっと入って覗いてみたいお店があっても、黙って入って黙って出て行くのは気まずいもの。

それを鎭子さんは、「のぞかせていただきます」「ちょっと見せて下さいね」と言ってお店に入り、出て行く時にはお礼を言うのですって。

f:id:akiko4595:20160719120512j:plain

 なるほど、と思いました。

このようなささやかだけれども、素敵な心遣い、暮らしの知恵、そして私も取り入れたいと思うようなアイデアが必ず見つかるのが、鎭子さんの文章であり、今も発刊されている雑誌「暮しの手帖」なのです。

 

そして暮しの手帖社が発信するメーッセージは、何度も読み返したいものばかり。

一度手にしたらそう簡単には手放せなくなります。

 

穏やかなトーンの文章の中にある、より良く暮すことへの飽くなき探究心にこれからも触発を受けていくでしょう。