ほがらか文庫013 : 「人類の星の時間」シュテファン・ツヴァイク著
私は強い刺激を受けるとすっかり感化されるタイプです。
ストレングスファインダーの結果の中ですと“適応力”に当てはまるのでしょう。
ちなみに私の強みは、“内省” “収集心” “学習欲” “適応力” “責任感”です。
これらが良い面として発揮されれば聞こえが良いのですが、時には負の面として発動します。
すると“適応力”ゆえの、目の前で繰り広げられる世界にすっかり呑まれていくことが負の面なのかなと、自分では思っています。
つまり、この本を読んですっかり呑み込まれています、ということです。
「人類の星の時間」シュテファン・ツヴァイク著
なので、読後の思考が止まってます。
ここに綴られている真実の物語は、とても大きな運命の瞬間です。
その前に立った時、いったい1人の人間が何をすることができるのでしょう。
でも、彼らは歴史に残る偉業を果たすのです。
今の私にはこれ以上、言葉がでません。
考えられるとしたら、この続きとなるような現代版「人類の星の時間」を読みたい。
この本は20世紀の初めまでの記述なので、それ以降「人類の星の時間」と呼ぶべき歴史があったのか。もちろん起きたでしょう。
もしそんなことを語り合うことができたなら、私の思考も回転しはじめるかもしれません。
この本は間違いなく、古典・名著として輝く一書です。
そしてこの本は間違いなく、ほがらか文庫に並ぶ一書です。
テロや戦争、核兵器の脅威が今もなくならないこの地球で、世界の平和にとってはあまりにもちっぽけに私は立っています。
でも無力感に呑み込まれたらいけない。だから考え悩み続けていくことをやめない。
だって答えはもう出ているのだから。
「どんな道徳的秩序も、暴力を用いて無理に手に入れることは決してできはしない。一つ一つの暴力は必ずまた暴力を生み出すのだから。君たちが武器を取ればただちに新しい圧制を君たちは作り出すのだ。君たちは圧制をほろぼしはしないで、それを永久に永びかせることになる。」人類の星の時間〜神への逃走 より抜粋
追記 2015.3.21
ついにこの素晴らしい本を手にいれることができましたので、ほがらか文庫に並べます。
ほがらか文庫008 : 「手仕事の日本」柳宗悦著
もし私が社会科の教員だったら、
この1冊を教科書にして、半年以上かけて授業を持ちたい。
大学の授業だったら1年かけても良いと思う。
しかし残念ながらそのような資格を持ち合わせていないので、
ほがらか文庫の書棚に並べることにいたします。
この本に出会ったのは、数年前。
札幌に向かう飛行機の中で、私の座席の目の前のポケットに入っていた1冊の雑誌。
たしかJALだったと思います。その航空会社が作成している乗客向けの無料の雑誌。
その中で、この本が紹介されていました。
私はその記事を食い入るように読み、この書名を手帳にかきつけました。
この本は、単なる民芸品を紹介する本ではありません。
全国各地を回った著者が選んだ、その地域それぞれの手仕事を紹介する中で、
日本の自然風土・歴史・伝統、
さらにはこれからの日本人のあり方までも指し示す1冊です。
約75年前に書かれたにもかかわらず、
廃れのない新鮮さを持ち、光を放つ言葉が詰まっています。
この本の最後に著者はこう綴っています。
「吾々はもっと日本を見直さねばなりません。それも具体的な形のあるものを通して、日本の姿を見守らねばなりません。そうしてそのことはやがて吾々に正しい自信を呼び醒まさせてくれるでありましょう。」
私は時々旅にでかける際には、
必ずこの本を開き、その目的地を取り上げている頁を読むようにしています。
それだけでも、ぐっと旅が深まります。
また、あらためて自分の故郷の手仕事について知るのもいいかもしれません。
グローバル化まっしぐらの今だからこそ、大切にしたい自国の誇りがここにあります。
ともあれ、どの分野であっても学問の行き着く先は、
専門に分類された範囲には決して留まらず、
ひとつの道がすべてに通じていくような広がりを持つものだと思います。
最近、注目されている「21世紀の資本」の著者も“パリ白熱講義”の中で、
経済の専門分野に留まらず、文学作品からも文献を引用し分析しているのが印象的でした。
ともあれ、今年こそ柳宗悦氏の魂が宿る「日本民藝館」に行こうと、
その機会を心待ちにするばかりです。
ほがらか文庫007:「台所のおと」幸田文著
少し前に、NHKの朝の連続ドラで放映されていた「ごちそうさん」。
それと、現在も放送中のNHKの番組で「サラメシ」。
ただのグルメ番組ではなくて、“ものがたりのある食事”を知ることで心が和みましたし、
お料理のモチベーションがあがりました。
それで、テレビ番組で“ものがたりのある食事”をテーマにしているのだから、そういう本はきっとあるはず、そう思ってアンテナをはっていました。
いくつかの出会いがあったのですが、最近私が選んで読んだ本がこちら↓
写真右側の「台所のおと」幸田文著です。
その隣にある同じく幸田文著の「木」は、高校時代の恩師が国語の授業で課題にした1冊。当時、恩師の授業が大好きでした。その尊敬する恩師オススメの1冊が「木」でしたので、幸田文の他の著作も読んでみようと思って今回は「台所のおと」を開きました。
高校時代っていってももう20年近く前になってしまうのですが、「木」を読んだ印象はちゃんと残っているもので、「台所のおと」を読み始めてまもなく、久々に幸田文の世界観に懐かしさを感じました。
病床の夫が、台所で料理をする妻の音を日々聞く中で、心の変化を感じ取るものがたり。
「木」もとっても細やかな表現でいて、細くなく、真実を浮き彫りにする強さがあったなあ、と。
「台所のおと」は全10編の短編小説です。それぞれに男女の細やかな心の動きが淡々と表現されています。私が、求めていた“ものがたりのある食事”とはちょっと違ったんですが、またそれはこれから探すといたしましょう。
一世代前の空気感も現代をまっしぐらに生きる私たちには新鮮に感じられると思います。
2015年、それぞれの家の中ではどのような“おと”が響くのでしょう。
心を研ぎ澄ませてしあわせなおとを響かせたいですね。
ほがらか文庫006:「一流たちの修業時代」野地秩嘉著
今の私が、座右の書をあげるとするならこの本。
折々に、紐解いている。
「一流たちの修業時代」野地秩嘉著
この本を知ったのは新聞か雑誌の書評だったと思う。
私がノンフィクションを好むようになったのは、
この本を読んだところの影響が大きい。
ユニクロ柳井正氏にはじまる15人のそれぞれの分野で活躍する一流たちの、
「修業時代を脱したと自覚したのは、いつのことか」
との著者の問いかけに対する答えに、
成功の陰にあるたくさんの苦悩や努力を目撃する。
そして、新しい一歩を踏み出す勇気をもらえる。
自分はどう考え生きていくかを見つめることができる。
新しい1年のスタートにあたってとびきりの1冊になるに違いない。
たくさんの夢と希望を彼らと描いてみてはいかがでしょう。
ほがらか文庫005:「持たない暮らし」下重暁子著
おまけの緒:Who I am ~学習法ではない英語の本
ほがらか文庫028 : 「表参道を歩いてわかる現代建築」大和書房
昨日読み終わった本のご紹介。